ところでみなさんは今日まで「着地型旅行」という言葉をご存知でしたか。
先月実施したアンケートでは「着地型ツアー(現地集合・現地解散型のツアー)に参加したことはありますか」という質問を用意したのですが、結果は「参加したことがない」が90%でした。
参加経験の有無以前の話として「知っていましたか?」と聞くのを忘れてたんですけど、ぼくらはこの結果を見て、そもそもご存じない方がほとんどなんだろうなと思いました。
現状、着地型旅行に申し込むには現地で直接申し込むか、インターネットや旅行代理店で申し込むことになりますが、ここに大きな課題があります。
それは「着地型旅行のプランがあることが知られていないし、そもそも着地型旅行について知らない」ということです。知らなければ探すことすらしませんものね。
地域の現実
着地型旅行をいっしょに企画しませんか、まずはテストとしてモニターツアーをやってみませんか、という件である地域にお伺いしたときのことです。
いろいろ企画案を話していくなかで、最終的に
- 着地型旅行のパッケージは参加者が集まらない
- 参加者を集める方法がない
- 参加者確保を確約してくれるなら開催可能
という話になりました。
かつては自分たちで着地型旅行を企画していたこともあったそうですが、人が集まらず採算があわないためにやめてしまったそうです。採算的なこと以外にも、交通網などハード面の整備も追いつかなかったとか。
かといって、大型の発地型旅行(従来型のツアーですね)だと、直行直帰で城下町を散策してなにかを買ったり食べたりしないので、地元経済にはあまり寄与していないともおっしゃっていました。
なるほどなぁ~とぼくは思いました。なるほどの意味にはふたつあります。
ひとつは、こうした事情があるらこそ、自治体や観光協会が誘客のためにおこなっている営業活動は
- 旅行代理店との商談会
- 旅行関係者を招いての現地視察会
が中心になっているんだな、ということ。
もうひとつは、上記活動が中心となっているがゆえに旅行企画・マーケティング機能を持っていない組織になってしまっているのだな、ということでした。
これでは「着地型旅行」のプログラムがあることを、市外・県外の方々に伝えることはむずかしいです。
観光客の大半は観光案内所に立ち寄ってくれるわけではないので、せっかく現地まで足を運んでくださった方にさえ伝えることができていません。
もっとも現地で知ってもすでに旅の予定が決まっているので参加したくてもどうにもならないということもありますから、やはり訪問前に伝えるのがベストです。
また、着地型旅行商品は現地で企画するものですから、旅行関係者を呼ぶ前にアイデアを出さなければなりません。
(もちろんこれはイニシアティブを旅行代理店から現地に取り戻すという意味でとても良い話なのです)
ただこれまで自分たちで商品企画をしてきていない方が多い現状を踏まえると、これはこれで重荷になっていることも事実です。
どうやって伝えるのか。どんな旅行商品を企画するのか。
この二点において、ぼくらはお役に立てるんじゃないかと思っています。
攻城団にできること(できそうなこと)
さて、攻城団として着地型旅行の普及にどんな貢献ができるのか、といえば大きくはふたつあります。
それは
- ツアー企画(旅行商品開発)
- 流通・販売におけるPR
です。
たとえば地域に点在するお城や城址をコンテクスト(文脈)でつなぐ旅行商品を共同開発することができます。興味深いコンテクストがあればそれをバッジにするのもいいですね。
城下町に残る遺跡などは城メモとして登録できますし、ツアーの行程はのちのち「城たび」にアップしても喜ばれるでしょう。
また、攻城団にはお城めぐりを楽しまれているアクティブな団員の方々が全国にいらっしゃいます。みなさんにお試しで体験していただくモニターツアーを企画開催することもできます。
じっさいにあちこちを訪問されている「目のこえた」方々から率直にフィードバックをもらって、より楽しめるツアー内容に改善することができるでしょうし、モニターツアーの様子そのものがいい宣伝用の写真素材になるはずです。
ほかにも――このあたりはいま七尾で取り組もうとしていることでもありますが――その地域の歴史を学ぶセミナーを開催したり、セミナーそのものを地元ではなく都市部で出張開催して観光客を呼びこむといったことも可能です。
攻城団が旅行代理店になってバスツアーを開催するよりも、各地の観光協会や地元のバス会社などと提携して個別に着地型旅行商品を企画していくほうが、みんながハッピーになれそうですよね。
ぼくらはそんなふうに着地型旅行にかかわっていきたいのです。
次回は観光庁が推進している「日本版DMO(ディーエムオー)」について紹介します。