新しい観光を推進するDMOとは

こんにちは、瀧田です。
今日はみなさんに質問したいことがふたつあります。

まずひとつめの質問です。
「地方創生」とか「観光立国」、そして「インバウンド観光」という言葉を見聞きした経験がありませんか。
攻城団に取り組むようになってから、ぼくはこの言葉がよく目に入ってくるようになりました。

つぎの質問です。
観光に出かけた際(あるいは地元で)、海外からの観光客を多く見かけるようになったなぁーと思うことは、ありませんか。
ぼくの地元(石川県七尾市)はまだまだ国内旅行者のほうが多いのですけど、それでも海外からの観光客も増えてきているなと思うときがあります。

いま日本の政策のひとつに「観光産業をもっと成長させて、経済を活発化させよう」という動きがあります。それが「観光立国」という政策で、そのために海外からの旅行客をもっと呼び込もうというのが「インバウンド観光」施策です。
「インバウンド(inbound)」というのは「入ってくる、内向きの」という意味の英語ですが、観光の文脈での「インバウンド」は、簡単にいうと「訪日(海外の方が日本へ旅行に来ること)」を意味しています。

そして「観光産業を成長させる」ためには、主体的に観光産業を伸ばしていく「けん引役」が必要になります。そこで登場したのが、観光庁が推進している「日本版DMO(ディーエムオー)」への登録という方法です。
「日本版DMO」は地域の組織として観光庁に登録することで、認定されるそうです。

観光庁のサイトを見てみると、広域連携DMOが4件、地域連携DMOが52件、地域DMOが55件と、計111件が登録されています。

この「日本版DMO」って言葉、見聞きしたことありますか。
新聞・雑誌やインターネットメディアでも、かぎられた情報欄にしか載らない専門用語ですので、知らない方のほうが多いと思います。
ぼくも攻城団をはじめるまでまったく知りませんでした。

DMOとはなんなのか

前置きが長くなりましたが、今日はこの「日本版DMO」について、いま勉強していることをお伝えしようと思っています。
そこから『ぼくらの観光旅行』にどう関わってくるのかというテーマをみなさんと共有したり、「もっとこうすればいいんじゃないか」といった意見の交換ができるようになればと考えています。

さて、聞きなれない「DMO」という英単語ですが、これは「Destination Marketing (Management) Organization」の頭文字をとった略語です。日本語にすると「地域の観光のマーケティングとマネジメントを一体的にになう組織のこと」を意味しています。わかりにくいですよね。さらに短くまとめると「観光で稼げる組織づくり」のことです。

ところでみなさんの地元にもきっと観光協会がありますよね。
駅前や観光スポットにいくと、観光案内所がありますが、案内所を運営されているのはだいたい観光協会です。

「日本版DMO」はこの観光協会のありかたや担当している業務を一歩前に進めて、「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役をになう法人と位置づけられています。

 人口減少・少子高齢化に直面する我が国の最重要課題である「地方創生」において、観光は旺盛なインバウンド需要の取り込みなどによって交流人口を拡大させ、地域を活性化させる原動力となります。
 こうした取組を進めるためには、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役としての役割を果たす「日本版DMO」(Destination Management / Marketing Organization)を、今後、全国各地域において形成・確立し、これを核とした観光地域づくりが行われることが必要です。

出典:日本版DMO候補法人の登録制度の創設について(観光庁)

どうですか。なんかすごそうな感じがしますよね。
でも具体的に何をやるのか、どうやって「法人」になるのか、いままでの「観光協会」と何がちがうのか、よくわからないなぁと思いませんか。
正直いって、ぼくはぜんぜんわかりませんでした。

わからなかったポイントは

  • 観光協会の看板をつけかえて、何かが機能するのだろうか?
  • 組織の中の人が同じだと、できることも同じなのでは?
  • 組織の運営資金はどうやって稼ぐのだろうか?(ぜんぶ補助金?)

などです。うん、ほぼすべてわかってませんね。
そもそも観光協会がすでにあるのに、どうして「日本版DMO」という組織をつくることを奨励するのかなぁという基本的なことも理解できませんでした。

こうして「日本版DMO」って何だろう、と思っていると、やり取りしている観光協会の方から「DMOを立ち上げることになって、大変です!」みたいなメールをいただきました。
そこで、あらためて観光庁のウェブサイトで調べてみると、日本版DMOに期待される役割には次のようなことが書かれていました。

  • 多様な関係者の合意形成
  • 各種データ等の継続的な収集・分析
  • 明確なコンセプトに基づいた戦略の策定
  • KPIの設定・PDCAサイクルの確立
  • 関係者が実施する観光関連事業と戦略の整合性に関する調整・仕組みづくり、プロモーション

いわゆる民間企業がふだん実施していることに近いような印象がありませんか。ぼくはそう感じました。で、次にこう思いました。

「え? こういうことっていままでも取り組んでいたんじゃないの?」

どうやら取り組んでなかったようです。
誤解のないように補足すると、もちろん取り組まれていた観光協会ももちろんありますよ。ただそれが少数派で、ほとんどの観光協会は長期的な視点に立ったり、自発的に観光客を増やしたり観光消費額を増やすために企画を考えたり、積極的にその企画を実現するためのパートナーを探したり協業したりといったことはやってなかったようです。

この点は、より正確には「(予算や人手の問題で)やれる状況になかった」ということなのかもしれません。
たしかにぼくらが観光協会に話にいっても数人の方しかいなくて、みなさん忙しそうにされてますからね。

次回は観光協会とDMOのちがいについてもう少しつっこんで書いてみます。

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